記録を残すところ

自分のために残す。でもそれが誰かのためになるかもしれない。

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を観ました (2020.10.31~)

濃密な半月を過ごしたのでブログにまとめてみました。(まとまっているとは言ってない)

ネタバレ全開なので未視聴の人は注意。

数年ぶりにアニメにハマりました。

近年はアニメは基本的に水樹奈々さん主題歌の作品しか観ておらず、それもここ2年くらいは観てなかったので本当に久しぶり。 奈々さん関連じゃないもので完走したのは直近だとラブライブ!(2013年)、その前はまどかマギカ(2011年)なはず。てーきゅうとかもあったけどあれは1話3分だからノーカンで…。

そんな自分が「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を観てきました。 TL見てたら評判よく、いろいろな界隈の方々から薦められていたので機会があればと思っていたらちょうど舞台挨拶付きの回があることを知り、他に予定もなかったので購入。 TVアニメ未視聴でも大丈夫との言葉を信じて、敢えて下調べせずに行ってみました。(というよりネタバレ踏むのが怖くて調べられなかった)

いい映画でした。というか泣きました。いや泣いたところはユリスとリュカのシーンでも最後の海辺のシーンでもなく、郵便局でデイジーがヴァイオレットの名前を発するところで普通はここ泣き所なのか?と若干疑問なんですが、とにかく個人的にツボを突かれた感じでした。

上映後舞台挨拶も、声優だけでなく監督や音響監督の方もいて、製作時の話を聴けてありがたかったです。そして最後の挨拶で石立監督が言った、この映画全体がどのようなものなのか、という話が強く印象に残りました。

ヴァイオレットのキャラクターも魅力的でストライク。ストーリー構成もとても良い。余白もちょうどよく、想像がかき立てられるいいバランスでした。

でもやはりTVシリーズとか既存の映像追ってないとわからないような描写も多かったので、全話配信されてるNetflixに加入。 OVAと外伝も含めてすべて視聴、そして劇場版2回目を観に行くところまでいったのでした。

この2週間の時系列です。

  • 10/31 劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンを観る (初)
  • 11/01 劇場版パンフレットを購入する
  • 11/02 Netflix登録するか悩み始める
  • 11/03 Netflix登録してTVアニメ版1話を観る
  • 11/04 TVアニメ版2,3,4話を観る
  • 11/05 TVアニメ版5,6,7話を観る
  • 11/06 TVアニメ版8,9,10話を観る
  • 11/09 TVアニメ版11,12,13話を観る
  • 11/10 OVAを観る
  • 11/11 外伝を観る
  • 11/12 劇場版パンフレットを読む。1,2,3話を観る
  • 11/13 10話と13話を観る
  • 11/14 劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンを観る (2)

映像のサブスクリプションは初めて登録したのですが、円盤入れ替える必要なくブラウザで観れるだけでこんなにも手軽になるとは…

上に書いてないけど一度観た話はその後も何度か観てます。 大体2周以上してる。 時間的に1日あたりもっと多い話数を観れなくはないんですが、イッキ見すると1話あたりの印象が薄まってしまうので適度に間隔を空けて少しでもリアルタイム視聴に近づけようと意識してました。良い子はペースを守っての視聴!

…ペース守れませんでした。毎話楽しみで早く次の話を観たいという気持ちを抑えるのが大変でした。

これ本当にたまたまなんですが、3話ずつ観たのは区切り的にちょうどよかったのかも。2,3,4話で周辺人物の紹介、5,6,7話でゲストキャラとヴァイオレットの仕事ぶりを描写、8,9話で過去と現在を繋ぐ話からの10話、そして1クール締めに向かう11,12,13話。

4話から5話になって作中で一気にヴァイオレットの評判上がってて面食らったけど、今考えてみると本筋のヴァイオレットの成長物語というのは自動手記人形としてではなく人間としての成長が主軸だったのでこれでいいんだなと。そしてOVAが4.5話というのを知って最初の疑問も腑に落ちた。

9話のような、一度折れた人が周りの助けで復活する系の話が特に好き。そのうえ、ここまでの話数がすべて9話に関わってくるという無駄のなさ。たぶん9話一番観返してるかもしれない。

そして10話。前評判をTLでちらほら見かけていたのである程度覚悟はしていたんですが、予想以上の衝撃でした。。。いやだって劇場版で最初に目にした場所がTVアニメで丸々1話使われる舞台となっていて既視感しかないし、しかも劇場版に結びつく過去の話だなんて、、、1回しか観てない劇場版のことがふと思い出され、それが繋がった瞬間からもう鳥肌立ちっぱなしでした。これ劇場版→TVアニメという、通常とは逆の順序で観たことで生まれた感覚なんですよね。普通に過ごしてたら到底味わえない稀有な体験でした。逆にTVシリーズ観てから劇場版観た人の衝撃はどんなものだったのだろう…

内容もよくできていて、ずっとアン視点で描かれていて隠されていたことが最後の最後で明かされる構成、それでいて9話までの経験も活かされてちゃんとヴァイオレットの話にもなっている。TVシリーズの中でも評価が高い回というのも納得です。アンが母親に訴えかけるシーンも名演でした。CV諸星すみれ、覚えておく。

13話の区切りも物凄く良かったです。本作はヴァイオレットが「愛してる」の意味を知っていく物語ということで進んできましたが、着地点の塩梅がよかったですね。締め方もゆっくりと時間をかけて余韻を感じさせる形で、一番最後のセリフがいつもの名乗り口上というのも王道でよい。読後感が素晴らしかったです。

というわけでその後OVAと外伝も観て、TVシリーズも少し観返してから、満を持しての2回目を観ました。

一番大きかったのはヴァイオレット視点に立てたことかなと。初見では最後の船から飛び出すところは正直引いてしまったんですが、ヴァイオレットの少佐に対する並々ならぬ想いやその身体能力を知っていると2回目はごく自然な動きに映りました。

海辺のシーンも、初見はヴァイオレットが「愛してる」を最後まで言えないのがもどかしかったんですが、少佐に書いた最後の手紙でそれはすでに伝えてたんですよね。直接伝えにくいことでも手紙なら、と常々言ってきたことがヴァイオレット自身にも当てはまったという見事な演出でした。でもこれ、普通なら「直接伝えられない→手紙にする」流れなのが、「直接伝えられなかった→でも手紙ですでに伝えていた」と順序が逆になっているのが面白いですよね。やっぱり2回目じゃないと気づけなかったかも。

その大事な手紙も少佐は最後に手放してしまって、初見ではマジかってなってたんですが、ヴァイオレットの想いはすでに受け取っているわけで。片方しかないその腕が手紙の代わりに掴んだのは彼女本人だったのだから頷くしかないです。

手紙が手から離れて空に舞う描写も多かった印象。大事な手紙なんだからもっとちゃんと握っておけよ!ってツッコミたくなるけど、演出的にそれぞれどういう意味なんですかね。1話と同じシーンが出てきたのはわかった。

そういえば、海辺のシーンはメタ的な視点だと船が出る前に再会としてもいい気がするんですが、ヴァイオレット側からも向かっていく描写を入れるなら納得。ホッジンズ抜きのふたりだけの空間を作りたかったのもありそう。

13話のラストで少佐に次会ったら伝えたいと言ってたことを、劇場版で実際に扉の向こうの少佐に伝えた答えが"拒絶"だったのも切ない…あんなに前を向いて希望を持ったモノローグがこんなネガティブな形で返ってくるとは思わず、ここが2回目最初の泣きポイントになってました。そりゃ目のハイライトも消える。

挿入歌も初見は違和感あって、歌が茅原実里さんということだけわかったんですが、これTVシリーズのEDだったんですね。EDがあのタイミングで流れると、そのまま終わってしまう不穏な感じが醸し出されて憎い演出でした。TVシリーズから観てた人は気が気がなかったんじゃないでしょうか…。こういうこともあるので、アニメをまとめて観る時は主題歌をスキップできないです。

フォロワーさんとやり取りしてて気づいたのは、初見の自分はデイジー視点だったんじゃないかと。デイジーがヴァイオレットのことを少しずつ知っていく過程が並行して描かれていましたが、それは何も知らない自分がその人となりを知っていく状況に重なっていました。

ところで、個人的な考えを申し上げると、ある人物の生きた証がその後の歴史に語り継がれるというのは、すなわちその人の名前が多くの人の心に遺るということだと思っています。つまり、最後にデイジーが「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の名前を発した時はその名前が胸に刻まれた瞬間でもあり、それはまた自分も同じだったんだと。だからこそ、このシーンが初見の自分の感情のピークになっていたのだと思います。

その他個人的解釈メモ。

  • 声を聞けたから十分、とまるで自分に言い聞かせるようにエカルテ島を離れようと宣言する様子は、まさに2話であった言葉と気持ちの不一致="裏腹"であること。2話のヴァイオレットでは考えられない発言で、人間として確かに成長した証左がこういう部分からも見て取れた。
  • ユリスの話があるおかげで初見の時も代筆の仕事を理解できた。2回目はユリスの疑問が最後のヴァイオレットの手紙に反映されていて、劇場版の中でも成長が描かれていたのも良かった。ユリスの仕事を引き受けていなければ、ヴァイオレットは「愛してる」が理解できたというだけでそれが少佐に対しても抱いてる感情だということを伝えられなかったんじゃないかと思う。
  • ギルベルトの顔が映るタイミングが、ギルベルトがヴァイオレットの名前を島の婦人から聞いたところで、それは視聴者がギルベルトの生存を確認できた瞬間でもあった。
  • ちゃんと確認してないんですが、TVシリーズでヴァイオレットは「了解しました」って返事を後半になるにつれて使わなくなっていったようなイメージがあります(代わりに「はい」が増えていった)。その無感情な応答を、エカルテ島の門前でホッジンズに待機するように指示された時に発していたのが印象的でした。
  • エカルテ島を離れようとする際に一瞬だけ映る1粒のぶどうは、心残りがあることの比喩かな。
  • エンドロールで見たデイジーの声・・・CV諸星すみれ!?10話で覚えた名前なんだが!??いやここで目にするとは・・・

長々と書いてきましたが、とりあえずこの辺で。自分が何を思ってきたかを残しておきたいと思ってブログに書いてみたらなかなかまとまらず。。。でもやっぱりいろいろな感想が溢れ出てくる作品は良い作品なのだと思います。

今後は原作小説を読んでみたいです。あと劇場版をもう1回は観たいと思います。